高橋将貴:Takahashi Masaki 2014

 

“MAN”

 

11月8日 ( 土 )  - 29日 ( 土 )

November 8 ( Sat. ) - 29 ( Sat. )

 

 

 

今回の高橋将貴の個展のテーマは「MAN」、まさしく「男性」という内容となっています。とは言いましてもジェンダーへの言及やマチズモへの批評ではなく、今回もまた高橋らしい個人的で楽しい興味の追求となっています。

高橋曰く、昔から自分の美術の制作意欲のもとになっている「白人中年男性」というモチーフを造形的に探り続けるとともに、日本の昭和世代特有の欧米への屈折した憧憬という観念的な面をも表現しようと努めているとのことです。彼の作品の特徴である「棒立ちで無表情」・「弱そうな

体形や顔」など、およそ一般的な男性性の美徳と合致しない要素を持って完成した作品群は、ユーモアと温かさを持って会場で佇んでいる事でしょう。

絵画作品は、美術の教科書に載っていた「アンソールは、石膏像をもとにオクタビアヌスの肖像を描けという課題に失望して美術学校を退学した」というエピソードを高橋が読んで、むしろ楽しそうだと思ったことから着想したシリーズです。美大受験・美術教育のためにどことなくマイナスイメージを纏ってしまった古典作品・アカデミズムは、高橋将貴なりのポジティブな取り組みにより変換されています。古来からの男性の表現が、学生時代から現在までの高橋将貴の芸術感覚に何をもたらしているかという考察になっているのかもしれません。今回の「MAN」展は、美術と高橋将貴の原点を見つめなおした制作ともいえます。 また欧米と同じジェンダー論が語れない日本と言う環境の、極めて重要な考察ともなっている事でしょう。

 

 

 

 

 

 

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